第106回 問 208−209

65 歳女性。 2 日ほど前から、下腹部の痛みを感じ、皮疹が発現したため、 かかりつけ医を受診したところ、帯状疱疹と診断された。以下の処方が出され、処 方箋を持って薬局を訪れた。面談で「 1 日 5 回飲むのは大変で飲み忘れると思う」 と訴えがあった。
(処方)
アシクロビル錠 400 mg 1 回 2 錠( 1 日 10 錠)
1 日 5 回 朝食後・昼食後・おやつ時・夕食後・就寝前 7 日分
この患者は、この薬局をかかりつけとして日頃から利用していたので、薬歴を確 認したところ、 3 年前にも帯状疱疹でバラシクロビル塩酸塩錠 500 mg を服用して おり、 1 日 3 回服用でもアドヒアランスが良好ではなかったことが判明した。そこ で、薬剤師は医師に連絡をとり、アドヒアランスが不良となる可能性があることを 伝え、 1 日 1 回のアメナメビル錠への変更を提案したところ、承諾を得たので、以 下の処方に変更し、患者に服薬指導した。
(変更後の処方)
アメナメビル錠 200 mg 1 回 2 錠( 1 日 2 錠)
1 日 1 回 朝食後 7 日分

問 208(実務)
薬剤師がこの患者に指導した内容について SOAP 形式で薬剤服用歴管理記録に 記載した。(S)、(O)、(A)、(P)の項目と対応する内容の組合せとして、正しい のはどれか。1つ選べ。
1 P:薬歴( 3 年前)に帯状疱疹でバラシクロビル塩酸塩錠 500 mg を服用して おり、 1 日 3 回でもアドヒアランスが不良であった。
2 O:1 日 5 回飲むのは大変で忘れると思う。
3 S:医師にアシクロビル錠 400 mg 1 日 5 回から、アメナメビル錠 1 日 1 回へ処
方変更の提案をしたところ承諾を得た。
4 A:アシクロビル錠 400 mg 1 日 5 回から、 1 日 1 回投与のアメナメビル錠が
最適と判断した。
5 S:患者にアシクロビル錠 400 mg 1 日 5 回から、アメナメビル錠 1 日 1 回へ変
更になったことについて説明し、 1 回 2 錠を 1 日 1 回朝食後に飲むよう指導し た。

1:過去の薬歴の話であり、Oに記載。

2:本人の話はS 3:A,4:A,5:A

正しいのは4

問 209(物理・化学・生物) 次のア~ウは、この患者に対して検討されたアシクロビル、バラシクロビル、アメナメビルの構造式のいずれかを示す。これらの薬物に関する記述のうち、誤って いるのはどれか。1つ選べ。

1 アはイのプロドラッグであり、イに比べて 1 日の服用回数が少ない。 

2 ア及びイの構造に含まれる核酸塩基はグアニンである。

3 ア~ウはすべて塩基性官能基をもつ。

4 ウは DNA 複製の基質として取り込まれ、ウイルス DNA 鎖の伸長を阻害する。

5 今回最初に処方された薬物イが最終的にウに変更された。

 

イラストで囲んである核酸骨格があるアとイで、イの方が小さいため、イがアシクロビル、アがバラシクロビルというイメージ。消去法でウがアメナメビルとなる。アシクロビルはウイルスDNAポリメラーゼでウイルスDNAに取り込まれ、それ以上のDNA伸長を阻害し、ウイルスの増殖を防ぐ。バラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグのため、服用回数は少ないようになっている。

ウは核酸アナログではないことが構造式からわかるため、これがDNAには取り込まれないと思われる。アメナメビルの作用機序はヘリカーゼ・プライマーゼ活性を直接阻害することで、二本鎖DNAの開裂及びRNAプライマーの合成を抑制し、ヘルペスウイルスの増殖を初期段階で阻害します。 これは既存の抗ヘルペスウイルス薬とは異なる作用機序となっている。

メーカーHPで腎機能低下患者でも用量調節要らないと謳っており、アメナメビルは尿中未変化排泄率が少なく、CYP3Aで代謝されるので、リファンピシンとの併用禁忌。脂溶性が高いと推察するので食後の服用推奨。空腹時だとAUC半減する。

誤っているのは4

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